今日は、「読むこと」の話し。
遠い昔、若かりしころは時間を忘れ、徹夜して小説の中にのめりこみ、ほとんどの本は1-2日で読んでしまったものでした。
最近は、借りてきた本を1週間で読み終えられたらいいほうです。
この変化は、当然、生活形態の変化によります。
ふんだんに時間があった学生時代と、仕事をすることによる限られた時間のある生活の違いは当然あります。
でも、なんといっても大きな違いはネットアクセスの有無です。
携帯の4G のバーの強弱はありますが、大抵の都市ではどこでもどこでも繋がるようになりました。
今時、電車の中で本を読んでいる人は何人ぐらいいるんでしょうか。電子書籍も出回っていることだし。

私にとってこの違いは、本を読むか読まないか以上に大きな影響があり、今、その変化を逆修正したいなって考えるようになりました。
アメリカの会社に勤め始めてから、いろいろ自己改革をしましたが、その中の一つに、要点をまず押さえて2-3の文章で言い切るということがありました。ミーティングで勝つにはズバッと要点を押さえて発言しないと取り残されてしまいます。まずはみんなの注目を集めなければ、言いたいことも言えないんですね。
メールもしかりです。2-3行で結論を書いておかないと返事が来なかったり、却下されたりと、過酷な状況でした。ものすごいスピードで動いているプロジェクトを管理するには、100も200も来るメールはサッと見てわかる簡潔さがないと追いつけない。
いつしかそんな行動パターンが身について、仕事以外でもそんな感じ。本を読む機会そのもがなくなっていました。長編小説なんて、冗談じゃない。時間無いんだから、要点押さえてよぉ。
そんなんだから、時々読む本、How-Toものは「要点が押さえられていて、簡潔で好きだー」ということになっていったのでした。
これ、昔はすごく「おっさん」風に見えたものでした。でも、私もそのど真ん中にいたようです。
ウェブの新聞は読むんですが、実は最近気がつきました。私は90%ぐらいはタイトルしか見ていないって事。サーっと目を通して、1つか2つのニュース記事をクリックしてザクザクッと読むぐらい。気を引く記事がなかったらそれだけ。4-5のニュースサイトを見ますから、そうしないと時間がなくなっちゃう。だから、最近は有料会員の方しか読めない記事が多くなってきていますが、そんなに困らなかったんですよね。また、Googleニュースは便利なんですが、過去に読んだ記事に関連したサブジェクトを自動で拾ってきてくれちゃうので、ちょっと避けてます。
・・・で、最近立ち止まってみました。そうしたら、
あれれ、私の知識、めっちゃ浅くなってきてない?
ただでさえ浅いのに、これ以上浅くなったらまずいじゃん?
携帯でモバイルバージョンの記事を読みながら、脳みその中を想像しちゃいました。
自分の意見を言えるだけ咀嚼してるものがないんじゃないの?
食事だって20回ぐらいは噛んでから飲み込みましょうって言われてるのに、こりゃ1回噛めばいいほうで、鵜呑み状態かも。
スマホは便利だけれど、退屈しのぎの子供のビデオゲームと同じじゃないの?
24時間垂れ流しのジャンク情報をサラサラと見ているだけじゃん?
ということで、大反省。 Wall Street Journal を購読し始めました。
面白いニュースとコラムが満載で、ちょっとはまってます。
なになにー?新聞なんて「読む」部類に入らない?
確かに。
でも、私にとっては朝、1時間ぐらいかけてコラムを読むことは新鮮です。
誰かの意見の主張があり、それについて考える。それについて誰かと意見交換もできればもっといい。
最近は英語版と日本語版の両方を備えている新聞が多いですよね。同じ記事を両言語で読むと、つまり、同じ記事を2回読むことになるんですね。すると、意外な発見があるときもありで、得した気分にさせてくれます。
今後、私にとっての「読む」は、歳をとっていく過程で変わっていくはずです。
小さい頃は、本を読む事が奨励され、本さえ読んでいれば親からもしかられませんでした。確かに日本語という言語を確立する上で、言葉や文章を真似することから多くの事を学べました。
大人になり、ここまで来た私。最近はどうかなって思います。本を読んだら偉い人になるわけでもないですからね。
何をどう読んでいくか、また、読んだ後、それをどうするかが問題だと思います。
本を読んで得た知識や疑似体験は、あくまでも何かをするための手助けをするもの。
ツールとして活用するという意味では、言語学習と同じだと思ってます。
究極は私を幸せにしてくれること。そして私の周りにも幸せ波動を起こせること。そういうことに貢献してくれるような「読む」があればいいですね。
Audible の普及もあり、最近は本を「聞く」人も増えてきています。もう子供じゃない私ですから、それもおおいにありですねー。