風が強くなってきた。
ザワザワと木々がざわめいて、早く帰ろと急き立てる。
バンちゃんの長くなった影を追いかけながら、カメラをしまった。
Henry W. Coe 州立公園は”渋い”。
広大な敷地のほんの一角を歩いただけの印象。
野生動物は奥まったところに隠れているに違いない。
ウッドペッカーの仕事の成果を見ながら、急勾配を歩いた。
レンガ色の幹の木はマンザニタ。
いたる所でいろんな顔を見せているのに、料理の仕方がわからない。
マンザニタの小さな白い花。
かろうじてマンザニタのお土産。
Frog Lake と名のついた場所を目指す。
湖とは言えないほどの小さな池だ。
だから、期待もしなかった。
降りていくと、なんと騒々しい。
本当にカエルが五万といそうに鳴いている。
ところがこのカエル達、私達と遊んでいるみたい。
湖畔を歩いていくと、順次”ピュハー”と声を出しては高く跳ね、水中に消えていく。
何ていうゲーム?
カメラに収めるのに一苦労する。
私たちは、一気にカエル撮影に没頭する。
何百回もシャッターを押して、こんなショットしか取れなかった。
この黄色い手と足で水中にスッと消えていくんだ。
この湖でサンドイッチを食べ、再び歩き回って気がついた。
ガマの白い穂が、空中に漂い、飛び散っていた。
太陽の光の中、春の雪が舞っていた。